歯を削らない治療で虫歯が治る理由

むし歯になるメカニズム

むし歯になるメカニズム動画


 

歯を削らないむし歯治療」を理解するにはまず、むし歯のメカニズムを知っておく必要があります。 

冷たいものがしみたり、何かをかんだりしたときに痛い……。

 このような症状はむし歯が原因であることが多いです。

むし歯の原因はミュータンス菌に代表されるむし歯菌です。むし歯菌は歯が生えてくる1歳前後から主に親御さんの唾液を介して、感染します。

 

つまり、ほとんどの人の口の中にむし歯菌は感染しているのです。

ただし、むし歯菌は単体では悪さをしません。増殖して増えることが問題なのです。

 

増殖のきっかけとなるのが口の中の食べかすです。

「砂糖をとるとむし歯になる」といわれるように、むし歯菌は糖質を好みます。

このため、歯に食べかすが残ると、ここから糖分をエサにして増えて行くのです。

そして、むし歯菌たちが活動する時に出す酸、これが歯を溶かします。

 

歯の構造は外側の一番硬い白い部分がエナメル質、その中にあるやわらかい象牙質(色は黄色っぽい)、さらに歯髄(神経)と続きます。

エナメル質は体の中で一番硬く、丈夫ですが、酸に弱いという欠点があります。

このため、増殖したむし歯菌が出す酸で、口の中が酸性に傾くとエナメル質が溶けていきます。

このときに歯の表面からカルシウムやリン酸などのミネラルが溶け出します。

これを専門用語で脱灰(だっかい)といいます。

 

人間のからだには自浄作用があり、数十分たつと唾液の力で中性に戻り、脱灰が止まり、その後、「再石灰化」といって、唾液中に溶け出したミネラルが歯に戻ります。これにより、溶けた歯も修復されるのです。

 

ところが甘いものを常に口の中に入れていたり、歯みがきを怠っていたりすると口の中が常に酸性になって、脱灰しっぱなし、ということになります。

そして再石灰化のチャンスを失い、歯が溶けてむし歯となるのです。そして溶け続けた結果、歯の中の神経の近くまで進行していきます。

この神経に近い部分に食べたものなどで刺激が加わると、しみたり、痛んだりするようになるのです。

歯を削らない治療で虫歯が治る理由

歯を削らない治療で虫歯が治る理由


 

むし歯は削るのではなく、基本的には薬剤などで溶かしたり、様々な機器で削らないで殺菌したりする治療で、虫歯が治るのか、疑問に思われるかもしれません。

しかし、そもそもむし歯は感染症であり、問題となるのはむし歯菌です。

むし歯で歯を削るのは歯の中にいるむし歯菌を取り除き、感染の持続をストップさせるためであり、同じことが歯を削らずにできれば、むし歯は治るわけです。